田中小実昌エッセイ・コレクション〈2〉旅 田中小実昌

Posted 10月 25th, 2009 by kzmr and filed in 田中小実昌

バスはレジャーだと言う著者・田中小実昌は日本でも海外でもバスに乗りまくる。
そして、観光はせず、酒を飲み、うまいものを食い、女と会話を交わす。

バスに乗って、「こんな安いレジャーはないだろう」というコミさん。
目的もなく、時にはどこへ行くのかさえ分からずに飛びのってしまう。
ロスではスラム街へ行ってしまって、危険な目にも遭ったりする。
そんな大声で吹聴したくなる経験だって、コミさんは飄々とそして淡々と語る。

全編を通して伝わってくるのは著者の子どものように純粋な視点だ。
コミさんを全く知らない人は、ちょっと頭の鈍い人ではないか、という疑問を持つかもしれない。
しかし、ページをもう何枚かめくれば確信に変わるはずだ。
ただ純粋なのだと。
コミさんフィルターを通して見る世界は僕らを惹きつけてやまない。

おそらく最近の若い人は田中小実昌という人を知る機会は少ないだろう。
僕自身もこのエッセイでその人物を知ったのだけど、郷愁というかノスタルジーというか、
そういうものを僕自身の旅のテーマに加えるきっかけとなった作品だった。

こんなに味わい深い旅本は他にないだろう。
さて、コミさんの好きだったジンソーダをこしらえるとするか。

田中小実昌エッセイ・コレクション〈2〉旅 (ちくま文庫)
田中 小実昌
筑摩書房
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5 バス旅の魅力

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