若き数学者のアメリカ 藤原正彦

Posted 11月 30th, 2009 by kzmr and filed in 藤原正彦

数学者である著者が1970年代前半、アメリカに研究員(後に助教授)として滞在したときのことを記した紀行文&エッセイ。
1978年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

本書は大きく以下の3つに分けることができる。
・ハワイ、ラスベガスを経由してミシガンへ向かう道のり。(紀行文)
・ミシガン大学での研究員としての生活。(滞在記)
・コロラド大学で助教授となってからの考察。(日米文化比較)

本書は色々な読み方ができるので、読む人によって感想も大きく異なるだろう。
僕が特に興味深かったのは前半のハワイ、ラスベガスだ。

ハワイではアメリカ人に囲まれながら日本人でただ一人真珠湾クルーズに参加し、アメリカ視点の解説に「アメリカ対私」という意識を強くする。
簡単に言えば「日本人をなめるな」ということだが、若さゆえの熱気が強く感じられ、数学者と言っても一人の若者なんだと親近感がわいた。
そしてラスベガスではギャンブルに熱くなり、なんだかんだと理屈をこねては挑み、結局当面の生活費まで注ぎ込んでしまう。
まるで名著『深夜特急』を読んでいるようだ。

とは言え、若さだけで終わらないのも本書の面白いところ。
中盤ではミシガンでの研究員生活が描かれ、アメリカという異文化のなかで生きる日々の葛藤や不安や苦悩が心に迫ってくる。
ハートウォーミングな出会いもあり、最終的にコロラド大学の助教授という名誉あるポストを得たときは、自分の事のようにうれしくなった。

さて、最後の章ではアメリカと日本の学生を比較しながら日米の文化比較の評論めいてくるのだが、日本人は日本人らしく振る舞うことがアメリカ社会に馴染む最良の方法だと言っているのが印象的だった。

本書は留学であれ旅行であれ、異文化に飛び込んでいく勇気を与えてくれるだろう。
異文化に対して少なからず恐怖や不安を感じ、留学や旅を躊躇している若者にぜひ読んでほしい本だ。

若き数学者のアメリカ (新潮文庫)
藤原 正彦
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.5

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5 脚色ありやなしや
4 20のころ読書
5 思わず感情移入してしまいました
3 評価がむずかしい…

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