旅人の心得 田口ランディ

旅の経験が豊富で、旅行記の著書が多数ある作家・田口ランディの旅エッセイ。
2003年に単行本が出版され2007年文庫化。

旅人の心得というタイトルは、著者が宮古島で踏み入ってはならないとされている神聖な場所にそれと知らず入ってしまった経験から、土地と人に対して謙虚でなければならないと胸に刻んだことによる。
実はこの章以外は短くラフな旅行記やエッセイからなっていて、笑いあり、じんわりあり、なかにはシリアスなものも含まれるが、決して説教くさいものではない。
本書で言及されているのは、沖縄の島々をはじめ、アルタイ、郡上八幡、ナバホ、メキシコのバハ・カリフォルニア、ニューヨーク、タスマニア、カンボジア・シェムリアプ、広島。
それらの土地と出会った人々から著者が得た自然や文化に対する感動を追体験できるカジュアルなエッセイである。

エッセイというのは「そうそう。まさにそう思っていたんだ」という読者の共感を得られるかどうかというのが一つの評価基準だが、田口ランディのエッセイはそれが抜群に素晴らしいと思う。
経済と自然のバランスとか、戦争や宗教・祭事といったデリケートで扱うのが難しいテーマを、とてもカジュアルな(と読者に思わせる)感性で、僕ら一般人に近しい表現で語ってくれる。
それにより、僕らはあたかも自分がその場にいたかのように著者の経験や感動を追体験できるのだ。

旅をしたいがなかなか時間を取れないというときにぜひ本書を手に取っていただきたい。
旅の経験や感動を味わうことで、その欲求を解消できるだろう・・・
というのは大嘘で、ますます旅に出たくてしかたなくなるに違いない。
そのときは思うがままに行動すればいいのだ。

旅人の心得 (角川文庫)
旅人の心得 (角川文庫)
posted with amazlet at 09.12.16
田口 ランディ
角川書店
売り上げランキング: 254967
blogram投票ボタン にほんブログ村 本ブログ 紀行・旅行記へ