インド旅行記〈3〉東・西インド編 中谷美紀

女優・中谷美紀のインド旅行記第三弾。
コルカタ、ダージリン、ブッダガヤなどの東インドと、アジャンタ、エローラ、ムンバイ、ゴアなどの西インドを巡る。

今回はベジタリアンを意識した前二作と違い、魚介類も多く口にし、ヨガのクラスにも参加していない。
前作同様ナチュラリストのインド旅行というイメージで読むと、紀行文としてはやや面白みに欠けると言えるだろう。
しかしながら、洗練されたホテルやレストランで過ごしたり、ちゃんとしたガイドを雇っているので各地の寺院や石窟遺跡などの描写は細かく、へたなガイドブックより参考になるはずだ。
また、ときおり語る内面的な言葉も、前作と比べるとあっさりしているが、それはそれで悪くない。

女優の書いた旅行記やエッセイとして読むのではなく、インド旅行に興味のある女性に、旅行を計画する一助として読んでいただいきたい。

インド旅行記〈3〉東・西インド編 (幻冬舎文庫)
中谷 美紀
幻冬舎
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おすすめ度の平均: 4.0

3 西へ東へ
4 私は好きです
4 せっかくインドまで行ったのに!?
5 私は大好き

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印度放浪 藤原新也

Posted 12月 23rd, 2009 by kzmr and filed in 藤原新也

旅本の大御所・藤原新也の処女作。1972年発表。
1960年代後半に一人、カメラを手にインド全土を放浪した記録である。
芸術的な写真と詩のような文章で綴られる独特のスタイルはここに始まった。

さてどう紹介したらいいものか。一筋縄じゃいかない。帯の言葉を引用する。

近代という病いの末期に生きる一人の青年が、原初の土地=インド亜大陸を巡りつつ、蝕まれた肉体と精神を恢腹していく——行動する思索家・藤原新也の処女作。

これで少し空気感を感じてもらえるかもしれない。僕はまだ生まれていないが、60年代といえば、ベトナム戦争や学生運動、安保闘争、高度経済成長による物質主義など、「これでいいのか?」という疑問がその時代を生きた人、特に若者に強烈に芽生えた時代だったのだと思う。
そんな時代に若かりし藤原新也はインドへと飛び出した。今でこそインドの情報は満ち満ちているが、当時はわずかだったろう。
未知といってもいいインドへ著者を駆り立てたもの。本書でも言及されているが、一言で言えば若さだと思う。若さゆえの無謀さと言ってもいいかもしれない。さらにその若さ・無謀さはインド放浪を経て、本書に見られる前衛的な写真と文章という表現に昇華した。
この表現が一時的な流行で終わることなく、今でもなお色褪せないのは、一人の若者の魂に共鳴するからだ。
今でこそカジュアルなインド旅行は珍しくなく、むしろ主流になっている感すらあるが、インドへの旅と聞くとどこか哲学的で厭世的な印象を受けるのは本書が少なからず影響しているのだろう。
説明を重ねてもしょうがない気がしてきた。
とにかく、永遠の名著だ。

印度放浪 (朝日文庫)
印度放浪 (朝日文庫)
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藤原 新也
朝日新聞
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おすすめ度の平均: 4.0

5 衝撃だった。
3 情熱的、絵画的ですが・・
5 才能に出会った。静かで、真摯な、人生に対する一つの視点
3 青春の「熱」を感じる本
4 写真が良い。あの美しい少女は今頃・・・

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インドは今日も雨だった 蔵前仁一

バックパッカー系の旅行誌「旅行人」の編集長である蔵前仁一のインド旅行記&エッセイ。
著書「ゴーゴー・インド」でも知られるようにインドへの貧乏旅行の豊富な経験をもつ著者が、ダラムサラ方面やキナウル地方といったインド北部を周遊。
さらにネパール・カトマンズへのスケッチ旅行と、世界一汚いと言われるカルカッタ・サダルストリートについてのエッセイも収録されている。

バックパッカー的な長期旅行をしているときの楽しみの一つとして、ゲストハウスなどで出会うパッカー達との情報交換があるだろう。
交通や気候などの実際的な情報収集はもちろんだが、それ以上にお互いの旅について聞いたり話したりするのはこの上もなく楽しい。
そうやって得た情報をもとに当初の旅程を変更するなんていうのはよくある話だ。
そもそも最初からそれをあてにして旅程を計画しない人だっているんだから。

何が言いたいかというと、本書を読んでそういった楽しさを感じたのだ。
決してきれいじゃないゲストハウスのロビーですごく面白い旅の話を聞いているようだった。
しかも相手は旅の達人。実際に役に立つ情報もあり、その上、味のあるスケッチも見せてくれるんだから、こんなに楽しいことはない。
それともう一点特筆したいのは、くだけた感じの文章であるにも関わらず、全体を通して土地や文化、人に対して深い尊敬が感じられることだ。
そういう意味でもバックパッカー達の心をぐっとつかむに違いない。

こういう面白い本に出会うと、心の底から旅に出たくなる。
本書を読めばきっと誰もが「あぁインドに行きたい」と思うはずだ。

そして、、、旅先で著者の蔵前仁一にばったり出会いそうな気がするのは僕だけだろうか。

インドは今日も雨だった (講談社文庫)
蔵前 仁一
講談社
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おすすめ度の平均: 4.0

4 面白かった
5 気軽に旅気分
4 インド北部への旅
4 インドへの愛情が伝わってきます
4 インド本の元祖

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インド旅行記〈2〉南インド編 中谷美紀

Posted 12月 6th, 2009 by kzmr and filed in 中谷美紀

女優・中谷美紀のインド旅行記第二弾。
前回の北インドに続いて今回は南インドを約一ヶ月周遊する。

積極的にヨガのクラスに参加し、食事はベジタリアンで、観光の際にはガイドを雇ってしっかり知識をインプット、というスタイルは前作と変わらない。

全体的にリッチ目の旅のスタイルなので、ハプニングや冒険に満ちた一般的なインド旅行記のイメージとは趣を異にする。
他サイトのレビューなどを見ると辛口のコメントが多いような印象を受けるが、原因はそのギャップに起因しているようだ。
しかしそのリッチなインド旅行記というのが本書のユニークなところである。

個人的な好みもあるが、今作のハイライトはケララ州のバックウォーター(水郷地帯)だろうか。
牧歌的な風景とのんびりと流れる時間、親切なインド人との出会いもあり、著者のリラックスが伝わってきて、ぜひ訪れてみたいと思った。

また後半はかなりインドに疲れてきている様子が見え、そこは女優と言っても一般人と変わらない等身大の姿を垣間見せる。
中谷美紀に興味のある人には、その人となりをうかがえる数少ない機会だ。

安全で清潔なリッチ目のインド旅行に興味のある女性にももちろんオススメ。

インド旅行記〈2〉南インド編 (幻冬舎文庫)
中谷 美紀
幻冬舎
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おすすめ度の平均: 3.0

2 一人旅ではない
3 参考資料として感謝
2 たいくつ
5 アーユルヴェーダをやりたい!
2 違う人が書いたの?

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深い河 遠藤周作

Posted 11月 28th, 2009 by kzmr and filed in 遠藤周作

ガンジス川沿いの聖地バラナシを主な舞台とした遠藤周作の代表作。
1994年毎日芸術賞受賞作。

それぞれの理由を抱えてインドへのツアーに参加した数名の人物が主人公。
汚物も信仰も、野良犬も聖者も、そして生死も、あらゆるものを受け入れるガンジス川。
そのガンジスのほとりで、彼らの人生が洗い出され、そしてあるべく方向に流れていく。

決して救われるストーリーではない。
しかし、主人公たちそれぞれの結末も、そして読者である僕らにつきつけられた
さまざまな思考や感情も、ガンジスの流れに優しく溶解していくようだ。

もしガンジス川を訪れた経験がないなら、ぜひ読んでいただきたい。
まず間違いなく、近々インドへの旅行を計画し始めることになるだろう。

深い河 (講談社文庫)
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遠藤 周作
講談社
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おすすめ度の平均: 4.0

2 消化不良
4 何度読んでも飽きの来ない懐の深さ
3 河のゆくえ
3 微妙……。
5 日本人として西洋の神 キリストの存在を追いかけ続けた遠藤周作の意外な集大成の著

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