インド旅行記〈3〉東・西インド編 中谷美紀

女優・中谷美紀のインド旅行記第三弾。
コルカタ、ダージリン、ブッダガヤなどの東インドと、アジャンタ、エローラ、ムンバイ、ゴアなどの西インドを巡る。

今回はベジタリアンを意識した前二作と違い、魚介類も多く口にし、ヨガのクラスにも参加していない。
前作同様ナチュラリストのインド旅行というイメージで読むと、紀行文としてはやや面白みに欠けると言えるだろう。
しかしながら、洗練されたホテルやレストランで過ごしたり、ちゃんとしたガイドを雇っているので各地の寺院や石窟遺跡などの描写は細かく、へたなガイドブックより参考になるはずだ。
また、ときおり語る内面的な言葉も、前作と比べるとあっさりしているが、それはそれで悪くない。

女優の書いた旅行記やエッセイとして読むのではなく、インド旅行に興味のある女性に、旅行を計画する一助として読んでいただいきたい。

インド旅行記〈3〉東・西インド編 (幻冬舎文庫)
中谷 美紀
幻冬舎
売り上げランキング: 8130
おすすめ度の平均: 4.0

3 西へ東へ
4 私は好きです
4 せっかくインドまで行ったのに!?
5 私は大好き

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インドは今日も雨だった 蔵前仁一

バックパッカー系の旅行誌「旅行人」の編集長である蔵前仁一のインド旅行記&エッセイ。
著書「ゴーゴー・インド」でも知られるようにインドへの貧乏旅行の豊富な経験をもつ著者が、ダラムサラ方面やキナウル地方といったインド北部を周遊。
さらにネパール・カトマンズへのスケッチ旅行と、世界一汚いと言われるカルカッタ・サダルストリートについてのエッセイも収録されている。

バックパッカー的な長期旅行をしているときの楽しみの一つとして、ゲストハウスなどで出会うパッカー達との情報交換があるだろう。
交通や気候などの実際的な情報収集はもちろんだが、それ以上にお互いの旅について聞いたり話したりするのはこの上もなく楽しい。
そうやって得た情報をもとに当初の旅程を変更するなんていうのはよくある話だ。
そもそも最初からそれをあてにして旅程を計画しない人だっているんだから。

何が言いたいかというと、本書を読んでそういった楽しさを感じたのだ。
決してきれいじゃないゲストハウスのロビーですごく面白い旅の話を聞いているようだった。
しかも相手は旅の達人。実際に役に立つ情報もあり、その上、味のあるスケッチも見せてくれるんだから、こんなに楽しいことはない。
それともう一点特筆したいのは、くだけた感じの文章であるにも関わらず、全体を通して土地や文化、人に対して深い尊敬が感じられることだ。
そういう意味でもバックパッカー達の心をぐっとつかむに違いない。

こういう面白い本に出会うと、心の底から旅に出たくなる。
本書を読めばきっと誰もが「あぁインドに行きたい」と思うはずだ。

そして、、、旅先で著者の蔵前仁一にばったり出会いそうな気がするのは僕だけだろうか。

インドは今日も雨だった (講談社文庫)
蔵前 仁一
講談社
売り上げランキング: 521277
おすすめ度の平均: 4.0

4 面白かった
5 気軽に旅気分
4 インド北部への旅
4 インドへの愛情が伝わってきます
4 インド本の元祖

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全東洋街道(上) 藤原新也

全東洋街道は藤原新也が1980〜81年にかけてトルコから高野山までの自身の旅を記録したフォトドキュメンタリーである。
1982年毎日芸術賞受賞作。
本書上巻はトルコ・イスタンブール、アンカラから黒海、シリア、イラン、パキスタンを経て、インド・カルカッタまでをカバーしている。

この全東洋街道をどういう内容の作品か、説明するのは難しい。
その文章は旅行記あるいはルポルタージュであり、詩でもある。
その写真は報道写真のようなドキュメンタリーであり、芸術でもある。

インド・カルカッタ。
ある夜、著者が定宿としている雑居ビル(女郎屋もある!)の屋上で、
カルカッタという街固有の匂いを「街の精液の匂い」と過激に表現している。

風が吹いて街がまた匂ってくる。
街の精液の匂いだ。
日々放出され腐敗し地面に浸み込み、壁にはりついている人々の汗、息、脂、排気ガス・・・鉄錆びの匂い、焼けた豚、山羊のなま肉、鼻を突く香辛料、熟したパパイヤの甘い香、食堂から吹き出される焼けたココナッツオイル、祭壇の香煙、熱帯の女の化粧、男の髪のマスタードオイル、ジャスミンの香、腐った河、なめし皮、大麻の煙、街路樹・・・昼間の太陽の残り香・・・そして雨の匂い。

しかし、これほどインドの街のあの匂いを再現している描写が他にあるだろうか。
その上、どことなく詩のような響きがあり、いつの間にか読者をトリップさせる。

本書の旅から30年近く経た今、どの街も表面上の様相は大きく変わり、
旅の情報源としては機能しないかもしれない。
しかし、本書の芸術性と価値は間違いなくこれからも高まっていくだろう。

全東洋街道 上 (集英社文庫 153-A)
藤原 新也
集英社
売り上げランキング: 76970
おすすめ度の平均: 4.0

4 トルコの暗さ
4 雨が降ったら、ぬれる。
5 旅行が好きな人もそうでない人も
4 気に入った

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