アジア極楽旅行 下川裕治

Posted 1月 29th, 2010 by kzmr and filed in 下川裕治

下川裕治のアジアシリーズ。徳間文庫書き下ろし。1996年10月。
長年アジアを旅してきた著者がディープなアジアを語る旅エッセイ。

目次は次の通り。

1章 アジアの旅の十二カ条
 ホテルの部屋ではウンコをしない
 駅前ティッシュをアジアへ持参する
 アジアの旅にはドルの現金を持っていく
 貧乏旅行者は女を買うな
 アジア好きなら車の免許を持つな
 アジアではすべての動力車がタクシーである
 中国人は寒さにめちゃくちゃ強いから注意しよう
 タバコを喫う人の権利は通用しないと思え
 アジアのホテルのクリーニングは申し訳ないほど安い
 アジアのギャンブルおばさんとは場を囲むな
 東南アジアではソファに座るな
 アジアの米は変幻自在であることを知れ

2章 アジアと日本の新しい関係
 都バスがラングーンを走る
 海を渡ったタマゴと魚肉ソーセージ
 三角折りトイレットペーパーのナゾ
 アジアに流出するセックス大国、日本

3章 日本とかかわるアジア人物語
 マウンの帰国
 エイズ青年の帰国
 ムイの恋
 アラカン人の日本

4章 激揺するアジア
 上海と広州
 中国に還る
 プノンペンの闇
 瞑想の国

1章と2章は著者の旅の経験談を中心にしたユーモアのあるエッセイ。多少アジアを貧乏旅行した経験のある方なら、ついつい「あるある」とか「へぇ〜」とかいつだかのテレビ番組みたいな相槌を打ちたくなるような面白話が満載だ。そして3章と4章。こちらは一転シリアスな話題となる。3章では著者のかかわったミャンマー人やタイ人、そしてアラカン人が来日して直面したリアルな現実が語られる。特に日本でエイズに感染したタイ人の青年の話はあまりにもリアルで切ない。4章のカンボジア、そしてミャンマーの政治に端を発する国の実情も決して我々が忘れてはならないことである。
面白いこともシリアスなこともひっくるめてアジア。そう実感できる一冊だ。

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下川 裕治
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3 ごちゃまぜエッセイ
4 比較文化論の論文が書けるかも
3 珍しく問題意識が前面に

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貧困旅行記 つげ義春

Posted 11月 8th, 2009 by kzmr and filed in つげ義春

「ねじ式」や「無能の人」など独特の作風で知られる漫画家つげ義春の紀行文。
1960年代後半から70年代後半にかけての旅が題材となって書かれたものだが、
つげは国内のうらさびしい鄙びた土地を好んだため、強烈なまでの哀愁が漂う。
随所に掲載されているつげ自身が撮影した写真もまた趣がある。

本書は好き嫌いがはっきり分かれる類の紀行文であると思う。
つげ義春の作品はこの紀行文に限らず本職の漫画でさえ読者を選ぶところがある。
全くつげ作品に触れたことのない人にとっては、単に貧乏臭い旅行記かもしれない。
しかし一度つげワールドにはまった人には、本書はよだれものだ。
つげ的エッセンスがこれほど濃縮されている作品は他にないだろう。

僕自身つげ義春のファンなので、本書に与えられた影響は大きかった。
鄙びた宿にひかれるようになり、実際に宿泊して、なんともわびしいというか、
退廃的な気分になってくると、「あぁ、つげ的だなぁ」なんてつぶやきながら、
妙な満足感がわき上がってくるのである。

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3 タイトルほど「貧困」ではない
2 趣味じゃないですね
4 つげの世界は昭和40年代の日本にあった
4 うらぶれた宿になにをかんじるのだ?
4 さほど困窮してないなぁ・・・

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